くっつく、くっつけるは英語で何て言う?

本シリーズの記事では、「これって英語で何て言う?」をテーマに、口からなかなかスムーズに出てこないような語彙や表現を取り上げていきます。

さて、皆さんはこんな経験はありませんか。
過去に「取る」「取れる」は英語でなんて言う?という記事がありますが、これらの反対の意味を持つ言葉「くっつく」「くっつける」は、どのように表すことができるのでしょうか。

ぱっと思い浮かべただけでも多くのシチュエーションが思いつきます。今回は日常生活でも多く登場する「くっつく」「くっつける」を英語ではどのように表すのかについて、掘り下げてみたいと思います。

それでは早速いってみましょう。

一般的に使える「stick」

「くっつく」の意味でもっとも一般的に使われる言葉が「stick」(stick-stuck-stuck)です。
「stick」には、名詞「棒、小枝」、動詞「刺す・突き刺す」といった意味があります。
突き刺した状態というのは身動きがとれなかったり何かにぴたっとくっついていたりと、そんなイメージを思い浮かべることができます。

「stick」のコアイメージでもある「刺して穴をあける」という意味から派生したのが「くっつく・くっつける」や「動けなくなる・行き詰まる」といった意味です。
例文を一つずつ見ていきましょう。

突き刺す

彼は分かりやすいように目印としてピンをポスターに刺しました。
He stuck a pin into the poster as a marker to make it easier to understand.

魚の骨が刺さっているような感じがします。
I feel that I have a fish bone stuck in my throat.

(be [get] stuckの形で)行き詰まる・動けなくなる

すみません、遅れてしまいそうです。交通渋滞で立ち往生しています。
Sorry, I’m running late. I’m stuck in traffic.

今日仕事に向かう途中、渋滞にはまってしまいました。
I got stuck in traffic on my way to work today.

只今土砂崩れで立ち往生しています。
I’m stuck in the landslide at the moment.

くっつく

たくさん汗をかいているので、Tシャツが胸にくっついています。
I’m sweating a lot, so my T-shirt is sticking to my chest.

ねぇ、紙くずがズボンにくっついているわよ。
Hey, some paper is stuck to your pants.

くっつける

このハートともう片方のハートをくっつけてください。
Please stick this heart and the other heart together.

黒板のポスターに磁石をくっつけてくれますか。
Can you please stick some magnets to the poster on the blackboard?

cling

前述の「sting」を使えばたいていの「くっつく」「くっつける」を表すことができますが、よりぴったりとしがみつく感じを表したい場合は「cling」(cling-clung-clung)を使うことができます。

「sting」には自動詞・他動詞の両方がありますが、「cling」には自動詞しかありません。
例文を見ていきましょう。

私の幼い息子はいつも私にぴったりとくっついています。
My little boy always clings to me.

そのお年寄りの女性は階段の手すりにしがみついていました。
The elderly woman was clinging to the handrail of the stairs.

二人の婦人はお化け屋敷を出ると恐怖でしがみついていました。
The two ladies were clinging together in terror when they came out of the haunted mansion.

このスカートは膝にまとわりつきやすいです。
This skirt clings onto my knee easily.

このように、(物などが)「まとわりつく」「(ぴったりと)くっつく」場合や、(人・動物などが)「(しっかりと)しがみつく」場合なんかは、「cling」がまさにぴったりの言葉であるといえます。

くっつき度合いはどちらが高い?

以上の説明を聞くと、「stick」よりも「cling」の方がくっつき度合いが強い?と思われる方もいると思いますが、実際は状況によって変わるというのが正解です。

「stick」のコアイメージに「刺して穴をあける」というのがあります。そのような状況というのは、容易に身動きが取れませんし、くっついて離すことが難しいです。

一方で「cling」のコアイメージは「ぴったりくっつく」です。
ぎゅっとしがみつくような状況は一時的なものです。
しがみつくこともあれば、離れることもあります。

先に出した例文で説明すると、例えばThe elderly woman was clinging to the handrail of the stairs.「そのお年寄りの女性は階段の手すりにしがみついていました。」の「clinging」を「stinging」に変えるとネイティブには不自然に聞こえるようです。コアイメージを掴むと、納得がいきます。

まとめ

本記事では「くっつく」「くっつける」の英語表現をご紹介しました。日常生活でよく出てくる言葉ですが、こういう言葉こそ意外と簡単そうで難しく、口からぱっと出てこないものです。

また、英語には似たような綴りや響きを持つ単語が多くあります。「stick」「cling」とよく似た単語に「sting」があるので、混同しやすいのでご注意ください。なお、「sting」の意味は「刺す」「刺すような痛みを与える」です。

英語表現は実にバリエーション豊かです。たくさんの表現を学んで、積極的に使っていきましょう。