今回は「転ぶ」「倒れる」について、英語ではどんな風に表現できるのか考察していきたいと思います。
「転ぶ」「倒れる」って英語でなんて言う?
昨夜転んでしまって、足が腫れています。
I fell last night and now my ankle is swollen.
上の例文のように、fall単独で「転ぶ」を表現できますが、fall+前置詞の形でより詳しい状況を伝えます。
転ぶときの方向や転ぶ前のポジションによって適切な前置詞を使い分ける必要があります。
まずは「転ぶ」でよく使われる「fall over」と「fall down」がどんな風に使い分けされているのか、早速みていきましょう。
よく使われる「fall over」と「fall down」
転ぶ」「倒れる」には実に様々な言い方がありますが、その中でも「fall down」と「fall over」がよく使われています。実際、例文を交えながら解説していきます。
「fall down」は「(地面に向かって)転ぶ、倒れる、崩壊する」などと翻訳できます。転んだり倒れたりした着地地点は元の位置よりも低くなるのが基本です。例文をみていきましょう。
お年寄りは階段で転ぶ可能性が高いです。
Elderly people are more likely to fall downstairs.
階段から落ちるというのは、高い位置から地面に向かって転んでいきますね。次の例文でも同様のことがいえます。
先月山で転落し、手の骨にひびが入りました。
I fell down the mountain last month and cracked my hand bone.
また「fall down」は落差がない地面の上でもよく使われています。
父は氷の水たまりの上で滑って転倒しました。
My dad slipped on an ice and fell down.
老木は倒木の可能性があります。
An old tree can fall down.
また、建物が崩壊するという意味でも「fall down」は使えます。同義語「collapse」
(崩壊する・崩れる)と入れ替えて使うことができます。
その老朽化した建物は突然崩壊しました。
The old building suddenly fell down.
=The old building suddenly collapsed.
「fall down」を使うと地面に向かって転んだり倒れたり崩れたりするイメージが想像できますね。
一方「fall over」は対象となる人や物体が直立している状態(立っている状態)から水平方向にパタンと倒れるイメージを思い浮かべるとよいと思います。
また、「fall over」は「trip(つまずく)」の意味に近く、何かしらの(小さな)物体につまずいて転んでしまうときにも使えます。それぞれの例文をみてみましょう。
息子がブロックでビルディングを作りましたが、すぐに倒れてしまいました。
My little son made a building with blocks, but it fell over soon after.
その大木は嵐で倒れました。
The big tree fell over in the storm.
ケーブルにつまずき転び、あごを床にぶつけてしまいました。
I fell over a cable and hit my chin on the floor.
薄明りで財布を探していたところ、彼女はスツールにつまずき転んでしまいました。
While looking for her wallet in poor light, she fell over the stool.
on している状態から落ちる場合は「fall off」
それでは、「fall off」が適切なシーンとはどんな場合でしょうか。これまでonして(接して)いたところからoffする(離れる)状況こそが、ぴったりとあてはまるシチュエーションだといえます。
先ほど娘が自転車で転びました。
My daughter fell off her bike just now.
私はスケートボードから落ちました。(スケートボードで転びました)
I fell off my skateboard.
枕が屋根から落ちました。
My pillows fell off the roof.
「fall off」が使われる場面では、何かしらの物体にonしているところから(結果的に転ぶにせよ)落ちるシーンを思い浮かべるとよいかもしれません。
inしている状態から落ちる場合は「fall out」
次に「fall out」をみていきましょう。outの反対の意味を持つ前置詞はinです。inしていた状態から出ていくような感じで落ちていくような場合には「fall out」が使えます。
木から落ちたことはありますか。
Have you ever fallen out of a tree?
今朝私はベッドから落ちました。
I fell out of bed this morning.
上の例文では「木から落ちる」をfall outで表現しましたが、話し手によっては、Have you ever fallen off a tree? と表現するかもしれません。元の状態がin the treeであれば「fall out」、元の状態がon the treeであれば「fall off」を使います。定型で覚えるのではなく前置詞の表す方向やイメージを想像しながら表現するとよいでしょう。
その他の表現「fall from」「fall into」「fall onto」
他にも「fall +前置詞」の組み合わせで色々と表現できます。
以下がその例です。木から落ちる場合に限っていえば、「fall down a tree」「fall off a tree」「fall from a tree」というように話し手の意識や感覚によっても表現方法は変わってきます。
「fall from」
サルも木から落ちる。
Even monkeys fall from trees.
「from」のイメージは「起点」です。「~から落ちる・転落する」など、どこから落ちたのかに焦点を当てたい場合は「from」を用いるとよいですね。
次に「fall into」「fall onto」の例文もみていきましょう。
「fall into」
風が吹き洗濯物がプールに落ちました。
The wind blew and my laundry fell into the pool.
「fall onto」
橋の上に倒れた木は、昨夜撤去されました。
The tree which fell onto the bridge was removed last night.
主語となっている対象物はどこにあったのかを考えてみましょう。上の2つの例文で考えると、元の場所はプールの中でもなく、橋の上でもありません。
それぞれの対象物の倒れる方向がプールに向かってinしていくのでinto、橋にonしていくのでontoを用いていると考えるとよいかと思います。
人が倒れた場合は?
「fall down」「fall over」「collapse」
人が倒れるような場合も、「fall」を使って表現することができます。例文をみてみましょう。
列車が突然ブレーキをかけ、立っている女性が倒れました。
The train suddenly braked and a woman that was standing fell over.
この場合、立っている女性が電車の突然のブレーキにより、パタンと倒れることが考えられますので「fall over」を使っています。
もちろん、状況によっては「fall down」を使って人が倒れるシーンを言い表すことも可能です。例文をみてみましょう。
その男性は電車の中で突然倒れました。
The man suddenly fell down on the train.
=The man suddenly collapsed on the train.
なお前述のよく使われるfall over とfall down のところで、建物が崩壊する場合に「fall down」の代わりに「collapse」と入れ替え可能であることを説明しました。
これは人に対しても同様で、人が倒れるという意味でも「collapse」を使うこともできます。
「collapse」は気を失って倒れた場合にも使えます。
「倒れる」という意味合いからは少し離れますが、気を失ったことを明確にしたいときは、下記の例文のように「pass out」や「faint」を使った方が無難でしょう。
その女性はいったん立ち上がりましたが、間もなく気絶しました。
The woman got up for a moment but she fainted soon after.
The woman got up for a moment but she passed out soon after.
まとめ
本記事では「転ぶ」「倒れる」を英語でどのように表現するのかについて考察しました。一口に転ぶといっても、転び方やその状況は実に様々です。「fall+前置詞」の使い方をマスターし、様々な言い方を表現できるようにしていけるとよいですね。