had better”のコアイメージ
前回は’should’について学びました。
shouldの解説はこちら
’should’のコアイメージは『経験からくる常識』であり、自分の経験上こう思うから、そうした方がいいよと相手に勧める時に多用される表現でしたね。
‘had better’は’should’と似た意味です、と学生時代教わった方も多いかと思いますが、使い方を誤ると相手から(コイツ押しつけがましいな…)とか、(言い方キツイな…)と思われる可能性のある表現です。
基本的には’should’の方が無難な言い方であり、ネイティブスピーカーも’had better’は多用しないように思います。
ではいつ使うのか、それは『忠告』する時です。
これをしたら、もしくはしなかったら問題になるぞと相手に強く訴える『忠告』こそが ’had better’のコアイメージです。You had better take a taxi today. Even if you only had a tiny bit, you can’t drive after drinking.
(今日はタクシーを使った方が良い。たった少しだったとしても、呑んだあとは運転しちゃあ駄目だよ。)
You’d better not use a smartphone in the theater. You’re ruining the moment for other people.
(映画館でスマホを使わない方が良い。お前は他の人の楽しい一時を台無しにしているんだ。)
I’d better go to bed now. I don’t think studying all night will be good for tomorrow’s test…well, the lack of sleep might actually make it worse.
(もう寝た方が良いな。徹夜で勉強するのが明日のテストが良いとは思えないし…まあ、睡眠不足で悪化するかもだし。)
また、否定文の際に’not’をつける位置が特殊である点と過去を表すことができない点には注意が必要です。
It’s timeの意味や使い方
よく混同して使われがちな表現として、
①It is time for you to think about your future career.
②It is time (that) you thought about your future career.
※thatは多くの場合省略されます。
という構文があります。
大きな違いとしては、②には過去形’thought’が使われているため、この文は過去形何だろうと考えた人もいるかと思います。
実は和訳するとどちらの文も、現在を表しています。
①そろそろ君は将来のキャリアプランについて考えるときだよ。
②(まだ考えていないのだろうけれど)そろそろ君は将来のキャリアプランについて考えるときだよ。
日本語にすると同じ文面になってしまいますが、含まれているニュアンスが大きく異なります。
中立的に、単に事実や意見を述べている①の言い回しに対し、事実と反する状況を述べることで『…すべきだ』と相手に仄めかす表現が②です。
似た言い回しで、
‘It is about time for A to do.’や’It is high time for A to do.’などがありますが、基本の形は上記のものと同じです。
重要な点は、過去形を使うと『そろそろ…した方がいいけど、まだやっていませんよね』とネガティブなニュアンスだったり、だから早くそうしましょうよと意見を述べたりする表現になるという点です。
そもそも、過去形を用いると距離を表すことができ、時間的な距離(過去)や現実との乖離(仮定)を表すことができます。
これは飲み込みにくい概念ですので、複数の例文に触れひとまずそんなものか…程度に頭の片隅に入れておきましょう。
後々仮定法について学ぶときに改めて詳細を説明します。
I have a car.
(私は車を持っています。)
I had a car.
(私は車を持っていました。)
※(‘had’を用いることで時間的な距離感が生じる→過去。)
It may be true.
(そうかもね。)
It might be true.
(ひょっとするとそうかもね。)
※(‘may’の過去形‘might’を用いることで心理的な距離感が生じる→可能性が下がる。)
Can you give a hand?
(手伝ってくれる?)
Could you give me a hand?
(手伝ってもらえませんか?)
※(‘can’の過去形’could’を用いることで心理的な距離感が生じる→近しさが下がり丁寧になる。)
これは‘had better’と’should’の関係性と同じように、日本語だけを見ると差が感じられないような表現です。
実はこういった和訳だけを見るとそっくりである、というものは大変多くあります。
しかし、言外のニュアンスが含まれているものも多いため、実際の意味合いがかなり異なり、使い方を誤ると相手に自分の言いたいことが伝わらない、ということも起こり得ます。
英語学習の際には、和訳に固執せず、しっかりとコアイメージを持ちながら例文に触れていきましょう。
まとめ
- ’had better’のコアイメージは『強い忠告』。
- ‘It is time (that) A was…’で『もうその時なのに、まだしていない』とネガティブな意味合いを表す。
- 過去形を用いることで時間的、心理的な距離感が生じる。
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