小学校においても本格的に英語教育が進められるようになってきた昨今、「うちの子は将来ちゃんと英語の授業についていけるのかな?」「途中でつまずいてしまわないかしら」といった不安の声がよく聞かれるようになってきました。
また、「入試でもスピーキングテストが導入されるから、幼少期のうちから英語の音に親しんでおいた方がいいのかな?」などと、早期に英語教育と取り入れることの必要性をひしひしと感じている方も少なくないでしょう。
わが子の将来を思えば心配になってしまうのが親心というもの。
しかし、いざ家庭での英語教育を始めるとなると、どのように始めればよいのか、どのようなことに気を付けなければならないのかなど、わからないことが多々ありますよね。
そこで今回は、家庭で 『おうち英語』を導入するに当たっての具体的な手順やツール、注意点などについてご紹介していきます。
早期英語教育はおうちでもできるの?
「子どもが学校の授業で苦労しないように」「英語の運用能力をより高めることができるように」との理由から、家庭において親が子どもに英語を教える、いわゆる『おうち英語』を始める家庭は増えつつあります。
「日本語もまだあやしいのに英語教育を始めても大丈夫なの?」と心配する声もあるかと思いますが、幼少期に多少英語に触れたからといって母語の獲得に影響を及ぼすことはほぼありません。
むしろ、小さいころから英語の音に日常的に触れる環境を整えて英語教育の土壌を作っておくことで、その後の高度な英語運用能力の獲得が容易になります。
最初は英語のCDやDVDをただかけ流しておくだけでも構いません。
脳が柔らかい幼少期のうちに、英語が身近にある環境を作っていってあげましょう。
おうち英語のコツは?
子どもに英語を教えようとなったときに多くの方がやってしまいがちなのが、かつて自分自身がやっていたような “詰込み型”の勉強方法を押しつけてしまうこと。
フラッシュカードを使って繰り返し発音練習をする、ノートに書き取る練習をする、文法の基礎知識を教える、などももちろん大切なことではありますが、これはある程度英語力が育ってきた段階で取り入れていくものです。
“英語の勉強=ひたすら暗記したり机に向かって勉強したりするもの”という先入観を植え付けてしまうと、「英語嫌い」になってしまう恐れさえあります。
おうち英語を始める上で何より大切なのは「親も子も楽しく取り組むこと」です。
淡々としたつまらないインプット方法では何も脳に入りません。
楽しみながら取り組むことで脳が活性化して色々なひらめきが起こり、学んだことへの印象も深まって忘れにくくなるのです。
- 嫌がることは強要しないで子どものペースや気持ちを大切にする
- “Great!” “Good job!” などと小さな成功でもたくさん褒め、自信をつけられるようにする
- 朝に英語の歌を10分流す、昼にDVDを見ながら10分一緒に遊ぶ、寝る前に英語の本を一冊読むなど、細切れでもいいので無理のない範囲で毎日英語にふれる時間を作る
といったポイントも押さえながら、親子でおうち英語を楽しめる環境をつくっていくとよいでしょう。
どのような手順で進めていけばよいの?
ひとくちにおうち英語と言っても、お子さんの年齢や興味関心、目標とする英語レベルなどによってアプローチ方法は様々です。
ここでは、「英語を強制的に教え込む」のではなく「英語を使って楽しく遊ぶ」ことを軸とした以下のような手順を確認していきましょう。
①英語に興味を持たせる
子どもは体を動かしたり歌ったりすることが大好きですよね。
英語への興味がない段階で無理に詰め込み型の学習を進めてしまっては逆効果となってしまうので、最初のうちは手遊びやノリのいい振り付けのついた歌から導入していくとよいでしょう。
ネイティブが歌う英語を楽しく口ずさみながら体を動かしているうちに自然と英語を聞き取る耳が育ち、英語特有の発音やリズム、イントネーションなどを身に付けていくことが可能になります。
Super Simple SongsなどのYouTubeサイトを活用するなど、取り入れやすいものから始めていくとよいでしょう。
②語彙を増やす
「英語って楽しいね!」と興味をもってくれたのであれば、次は語彙を増やすことにシフトしていきましょう。
知っている単語数が少ない状態ではいくら英語を聞いても理解できません。
以下のような身近な英単語から少しずつインプットしていくとよいですよ。
- あいさつなどの基本的な会話
- 動作
- 数字
- 色
- 食べ物や飲み物
- 天気
- 動物
- 衣服
- 文房具
- 曜日や月
- 体のパーツ
- アルファベット
教材に関しては多種多様なものがありますが、対象年齢や身に付けたい英語力に応じたものを用意してみましょう。
筆者の場合は以下のようなものを取り入れていました。
- 「おさるのジョージ」などのアニメの音声を英語に切り替える
- CD付きの絵本やタッチペン付きの英語絵辞典を購入する
- 「きいて!さわって!ABC」などの無料英語アプリを使う
- 「はらぺこあおむし」などの英語絵本の読み聞かせ動画を活用する
- 「こどもちゃれんじEnglish」などの通信教材を利用する
- 先程ご紹介したYouTubeサイトと連動している「Super Simple」というサイトにてフラッシュカードや塗り絵プリントを無料でプリントし、動画の復習に役立てる
お子さんの興味や関心に合わせた教材を用意し、楽しみながら語彙力を高めていけるよう工夫してみてください。
③簡単な単語や文の読み書きができるようにする
英語に興味をもってもらうだけであればこれまでご紹介してきたツールだけでも十分なのですが、より高度な英語力をつけてほしいのであれば「単語を正しく発音できること」や「英文を読んで意味を正確に理解できること」は必須です。
以下のような少し発展的なツールも取り入れてみるとよいでしょう。
あいうえおフォニックス
こちらはアリーとファジーというキャラクターが「英語のスペルと発音のルール(フォニックス)」について楽しくわかりやすく解説してくれると人気のサイトです。
日本語の母音は「あ/い/う/え/お」の5つだけですが、英語の場合は「あ」という音だけでも種類がたくさんあります。
/æ//ə//ʌ/などの各音を言うときの口の形や舌の位置を学ぶことによって、日本語にはない英語特有の母音を正しく発音したり認識したりできるようになるのです。
フォニックスの知識があれば初めて出会った単語でもその規則性を利用して発音できるようになるので、その後の英語習得を容易にしてくれるというメリットもあります。
フォニックスの基礎を学んだあとはPhonics Songのようなリズミカルな歌を活用して覚えていくとよいでしょう。
絵本ナビえいご
こちらはネイティブが英語の絵本を朗読してくれる学習アプリです。
良質な子ども向けの絵本にたくさん触れられるだけでなく、ネイティブのお手本を聞いてから発音練習をしたり、発音やイントネーションを採点してもらったりすることもできます。
絵本であれば英語への抵抗感も少ないので、リスニングやリーディングの力を着実に鍛えていくことができます。
ちびむすドリル(英語)やスタペンドリル
ワークシートを無料ダウンロードできるサイトはおうち英語の強い味方です。
絵カード(フラッシュカード)や塗り絵、アルファベット表、単語練習プリントなど多様なものがありますので、ぜひ活用してみてください。
わが家では子どもが年長のときから毎日取り組むようにしています。
1日10分ほどですが「継続は力なり」という言葉もあるように、ただ発音するだけでなく実際に書いてみることで単語の定着が図れるようになってきました。
④たくさんの英語に触れながらアウトプットする機会を増やす
英語力を高めていく上で、日常的に英語に親しむ習慣をつけていくことは大切なポイントです。
これまでご紹介してきたツールをうまく組み合わせながら、生活の中に自然に取り入れていくよう心がけてください。
ただし、お子さんに更なる実践的な英語運用能力を身につけてほしいのであれば “実際に英語を使ってコミュニケーションを図る機会を多く設けること”にも注目する必要があります。
というのも、言語習得にはインプットとアウトプットの両輪をバランスよく鍛えていくプロセスが欠かせません。
たくさん英語の音を聞いてインプットがある程度できたのであれば、次はアウトプットする機会を多く確保していくことが重要です。
一緒に英語の絵本を声に出して読んでみる、英語の歌を一緒に歌う、映画の好きなセリフをまねして言ってみる、身近な場所で行われている国際交流イベントに参加するなど様々な方法がありますよ。
絵本を読んでいるときに
- “What’s this?”
- “Where’s ○○?”
- “What is ○○ doing?”
などと質問してみるのもよいですね。
自分の英語に自信がないという方やお子さんに毎日英会話する機会を与えたいという方の場合、オンライン英会話を利用することも一手です。
我が家では学研が運営するオンライン英会話サービスである「クラウティ」を利用しているのですが、こちらは以下のようなメリットがあるのでおすすめですよ。
- 毎日10分または25分のフィリピン人講師によるマンツーマンレッスンが受けられる
- 学研が作成した子ども向け教材が豊富に揃っている
- 家族でシェアしながらレッスンを受けられる
- AI相手の英会話レッスンでは発音や語彙の強化ができる
インプットだけでなくアウトプットする機会もたくさん設けて、自信を持って単語を発音したり会話をしたりできるようサポートしていけるとよいですね。
クラウティのレビューはこちらで紹介しています。オンライン英会話クラウティの特徴やメリット等についてご紹介しています。
⑤実力試しをしてみる
おうち英語で子どもがある程度話せるようになってくると、英語力がどれほどついてきたのかを確認したくなりますよね。
「4歳で英検5級に合格した!」なんて話を聞くと、「うちの子にもやらせてみようかしら?」と思うのも当然です。
しかし小さなお子さんに英検を受験させる場合、以下のような心配事が出てきてしまうでしょう。
- 子どもが小さいので1人での会場受験は不安
- マークシートにきちんと書けるか心配
- 親の期待を押し付けすぎてしまい、不合格だったときに挫折感を味わってしまう恐れがある
「子どもの英語力がどの程度ついたのか力試しをしたい」「客観的な指標が欲しい」というだけであれば、「英検ジュニア」から始めてみるのがおすすめです。
こちらは英語の音声を聞き取って答えるだけのシンプルなリスニングテストで、自宅のPCを使って手軽に受験することができます。
英語を学ぶ楽しさを味わってもらうことを目的として作られているテストなので合格・不合格という概念がなく、子どもが挫折感を味わうことがないのも嬉しいポイントですよ。
公式HPにあるサンプル問題や有料のラーニングを活用して勉強に取り組めば小さなお子さんでも高い正解率を出すことができるので、学習の動機付けにもつながります。
まとめ
英語教育への必要性の高まりを受けて不安になる方は多くいらっしゃるでしょうが、子どもの適応力は大人が思っている以上に柔軟なものです。
お子さんの英語のレベルや目標とする英語力などに合わせて今回ご紹介したツールをうまくご家庭で取り入れていただき、「英語って楽しい!」と親しみながら学ぶための手立てとしてぜひ活用していってくださいね。