仮定法って聞くと、Ifを使うものでしょって思うかもしれませんが、実はIfだけではありません。
仮定法の基本の形は、以下の2つだと思います。
- If + S + 動詞の過去形, S + 助動詞過去形 + 動詞の原形
- If + S + 動詞の過去形, S + 助動詞過去形 + have+ 過去分詞形
しかし、この他にも仮定法には多くの種類があります。
本記事では、日常会話で良く使う仮定法の基本パターン以外の仮定法を3つピックアップしました。
どれも簡単に使えるようになります。
Wishは仮定法です
Wishが仮定法であるのは、Wish+現在形の形で使用することができず、Wish+仮定法でしか使用できないからです。
Wishは「強く望む、願う」といった意味があります。
日本語だけ見ると、現在形として使うことが出来ると思うかもしれません。
Wishの用法を理解すると、その謎が解けます。文の構造と例文を確認していきましょう。
Wish+過去形
【Wish+過去形】は「~だったらいいのになー」という表現をする時に使います。
つまり、現在の非現実の状況を望んでいることを表します。
例①)I wish I could fly freely.
(空を自由に飛べたらいいのになー)
例①は、実際に空を飛ぶことは不可能だけど、飛べることを望んでいます。
何かドラえもんの歌に出てきそうですね。
文の構造は、【Wish+過去形】になっています。
なぜかというと、過去形を使うこと(時制をずらすこと)により、現在の現実との距離を表現しています。
現在の現実との距離がある=現在の非現実であることを意味しています。
例②)I wish my father were with me now. He would help me to make this bad situation better.
(私の父が今そばにいてくれたらなー。彼はこの悪い状況を良くしてくれる手助けをしてくれただろうに。)
例②は、そばに父がいるという非現実のことを望んでいます。
その為、Wish+過去形の形になっています。ポイントは、Be動詞がwereになっているところに注意です。
Wishに続く節のBe動詞は、基本的にwereが使われます。Wasを使われることもありますが、圧倒的にwereの使用率が高いので、wereを使うことをおすすめします。
Wish+過去完了形
【Wish+過去完了形】は、「~だったら良かったのになー」という表現をする時に使います。
つまり、過去の非現実の状況を望んでいることを表します。
例①)I wish I had checked whether the door was locked or not.
(そのドアがロックされていたかどうかを確認しておけば良かったのに。)
例①は、ドアがロックされているかを実際は過去に確認していない状況です。
そして、確認を過去に行った=過去の非現実を望んでいるということになります。
文の構造は、【Wish+過去完了形】になっています。
なぜかというと、過去完了形を使うこと(時制をずらすこと)により、過去との距離を表現しています。
過去の現実との距離がある=過去の非現実であることを意味しています。
例②)I wish she had been home when I came back.
(私が帰って来た時に、彼女が家に居たら良かったのに。)
例②は、彼女が家に居たという過去の非現実を望んでいます。
Wishの後の節でBe動詞を使う場合はHad+beenの形になる点に注意をしましょう。
Wishの後の時制に注意
Wishの後に、過去形を使うか、過去完了形を使うかは、Wishしている時点を基点に考えます。
Wishが現在形であれ、過去形であれ、願っている時と時制が同じかそれより前かを考えましょう。
- Wishと同じ時制=過去形
- Wishより前の時制=過去完了形
例③)I wished she were home when I came back.
(帰って来た時、彼女が家に居れば良かったのにと思った。)
例④)I wish she had been home when I came back.
(帰って来た時、彼女が家にいたら良かったのにと思う。)
Hopeと間違えないように
Wishとよく間違われるのがhopeです。
なぜなら、hopeの意味は「希望する、願う」だからです。
日本語では、使い分けされていませんよね?しかし、英語ではこの2つの単語には意味合いに違いがあり、用法も異なります。
- Hope=可能性がある願望
- Wish=不可能な願望
Hopeは、可能性がある願望を表します。
そのため、仮定法は使用できません。
使い方は、【Hope+現在形/未来系】の形になります。
例①)I hope it is sunny this weekend.
(今週末、晴れるといいね)
例②)I hope you will get high score on TOEIC test this time.
(今回、あなたがTOEICでハイスコア取れることを願います。)
as if「まるで~である」
「まるで~だね」とか「まるで~みたい」といったフレーズは英語で【As if】を使って表現します。
日本語でも定番でよく使うフレーズなのに、意外と使っている人が少ないです。
「まるで~だね」は、事実とは異なることを述べることなので、仮定法を使用します。
基本の考え方は、Wishを同じですので簡単に理解できると思います。
as if +過去形
「まるで~である」と表現する場合に、【As if+過去形】を使います。
現在の現実を非現実に言い換えています。なので、過去形を使用します。
例①)You are talking as if you knew everything.
(あなたは、まるですべてを知っているかのように話していますね。)
例文の状況は、
- 現実 Youは全てを知っているわけではない。
- 非現実 Youは全てを知っている。
ということになります。
このように、非現実のことをAs ifを使って表現しています。
例②)You look as if you had stomachache now.
(まるで今お腹が痛そうに見えるよ。)
例文の状況は、
- 現実 Youは今お腹は痛くない
- 非現実 Youは今お腹が痛い
ということになります。
as if +過去完了形
「まるで~だったかのよう」などと表現する場合に【As if+過去完了形】を使います。過去に起こった現実を非現実に言い換えています。なので、過去完了形を使います。
例① You look as if you had seen a ghost. (あなたまるで幽霊でも見たかのようです。)
例文の状況は、
- 現実 Youは幽霊を見ていない。
- 非現実 Youは幽霊を見た。
ということになります。
例②)My teacher tells us about the story as if he had been there before.
(私の先生は、まるで以前行ったことがあったかのように、その話を教えてくれます。)
例文の状況は、
- 現実 先生は以前行ったことがない。
- 非現実 先生は以前行ったことがある。
ということになります。
As thoughやLikeも使える
As ifと同様の意味で、【As though】や【Like】も使用できます。
例①)You look as though you were angry.
例②)You look like you were angry.
(まるで、怒っているみたいだね。)
As ifの後の注意
As ifの後に、過去形を使うか、過去完了形を使うかは、主節の動詞(As ifの節ではない方の節)の時制を基点に考えます。Wishの時と同じ考え方です。
例①)He talked as if he were an expert in economics.
(彼はまるで経済学者であるかのように話した。)
He talkedの部分が主節になります。
主節は過去であるのに対して、彼が経済学者であるような振る舞いをしたのも過去の同じ時点です。
そのため、【As if +過去形】の形になっています。
例②)You looked as if you had eaten something bad.
(あなたはまるで何か悪いものを食べたかのような顔をしていましたよ。)
You lookedの部分が主節になります。
主節は過去形です。それに対して、何か悪いものを食べたというのは、主節の時制よりも前であることが分かります。
そのため、【As if+過去分詞形】の形になっています。
直接法のパターンもある
これだけ、【As if+仮定法】の説明をしましたが、実は直接法も使えます。
非現実であることを例えていることが文脈で分かるので、【As if+現在形】を使うことができます。
例)She talks as if she is angry.
(彼女は怒っているかのように話します。)
Withoutを使った仮定法
実はWithoutを使うことで、Ifなしの仮定法を作ることができます。
日常生活で頻出ですし、仮定法がシンプルになりますので、実践で使いやすいです。
Without+仮定法
【Without+仮定法】で「~がなければ、~だった」といったような表現をすることができます。 【Without+wouldやcould】もしくは【Without+would have +過去分詞やcould have+過去分詞】の形になります。例①)We couldn`t have achieved our goal without you.
(君なしでは、私たちは目標を達成することが出来なかったよ)
例①は、実際の意味はWe were able to achieve our goal with you.
(君と目標を達成することができた。) になります。
これを仮定法にするため、時制を1つ前にずらし、非現実の意味に言い換えます。
・We were able to achieve→We couldn`t achieved our goal
・With you→Without you
※Couldを使うと達成したか定かでない意味になるので、ここではBe able toを使用しています。
詳しくは、Be able toの使い方の記事を参照してください。
canとbe able toの違いを例文を踏まえてわかりやすく解説しています。
例②)I would have lost a lot of money without your help.
(あなたの助けがなかったら、たくさんのお金を失っていただろう。)
実際の意味は、I didn`t lose a lot of money with your help.
(私はあなたの助けでお金を失わずに済みました。) になります。仮定法にしてみましょう。
・I didn`t lose a lot of money→I wouldn`t have lost a lot of money
・With your help→Without your help.
Withも使える
Withoutも使えるので、もちろんWithも仮定法とセットで使えます。
例①)We wouldn`t have failed the exam with your advice.
(あなたの助言があれば、試験で失敗しなかっただろう。)
例②)I could try this with you.
(あなたがいれば、これに挑戦できます。)
まとめ
仮定法には、定番のIfを使ったもの以外にも色々種類があります。
その中でも、日常会話で使用するのに便利なものを3つピックアップしました。
- Wish+仮定法
- As if+仮定法
- Without/With+仮定法
Wish+仮定法
「~だったらいいのになー」や「~だったら良かったのになー」などと表現する時に【Wish+過去形】もしくは【Wish+過去完了形】使います。
Wish+過去形
例)I wish I could fly freely.
(空を自由に飛べたらいいのになー)
Wish+過去完了形
例)I wish I had checked whether the door was locked or not.
(そのドアがロックされていたかどうかを確認しておけば良かったのに。)
過去形もしくは過去完了形を使って、時制をずらし、非現実に起こっていることを表現しています。
Wishの後に、過去形を使うか、過去完了形を使うかは、Wishしている時点を基点に考えます。
As if+仮定法
「まるで~である」や「まるで~だったかのよう」と表現する場合に、【As if+過去形】もしくは【As if+過去完了形】使います。
As if+過去形
例)You are talking as if you knew everything. (あなたは、まるですべてを知っているかのように話していますね。)
As if+過去完了形
例) You look as if you had seen a ghost. (あなたまるで幽霊でも見たかのようです。)
Without/With+仮定法
【Without+仮定法】で「~がなければ、~だった」、【With+仮定法】で「~があれば、~だった」というような表現ができます。
Without/Withの後には、wouldやcouldもしくはwould have +過去分詞やcould have+過去分詞の形になります。
Without+仮定法
例)We couldn`t have achieved our goal without you.
(君なしでは、私たちは目標を達成することが出来なかったよ)
With+仮定法
例)We wouldn`t have failed the exam with your advice.
(あなたの助言があれば、試験で失敗しなかっただろう。)
いろんな種類の仮定法を学んで、現実のことをあえて非現実のことに変えて伝えてみましょう。
人に対しての伝え方が変わってきます。
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