英語運用能力が社会の様々な場面で必要とされるようになってきた昨今、英語習得はもはや必須事項となりつつありますが、「ネイティブに早口で話されたときに聞き取れない」「知らない単語が出てきた途端にフリーズしてしまう」などと、リスニングを苦手としている方は少なくありません。
「長年英語の勉強をしているのにリスニング力が身につかない」「TOEICのリスニングのスコアが伸び悩んでいる」などの悩みも多く聞かれます。
そこで今回は、リスニングが伸び悩んでしまう主な原因やおすすめの勉強法、教材を選ぶときのコツについてご紹介していきます。
英語が聞き取れない理由とは?
「ネイティブの英語が聞き取れない」というのは多くの英語学習者が直面する壁ですが、その原因として主に以下の3点が考えられます。
語彙力や文法力が不足している
いくら音声が正確に聞き取れたとしても、単語や英文の意味がわからなければその内容を理解することはできません。
中学校で習うような基本的な単語もままならないのにBBCやCNNのニュースがわかるはずがありませんよね。
基本的な英単語や英文法の知識が不足しているのであれば、流れてくる音声全体の意味を理解できないのも当然です。
リスニング力を鍛えたいのであれば、その前にまず土台となる語彙や文法の知識を強化しておくことが大切なのです。
英語の音が聞き取れていない
「ネイティブの発音が速すぎるせいできちんと聞き取れない」と思っている方が多いのですが、英語が聞き取れないのは「ただスピードが速いから」だけではありません。
英語特有の発音や強弱、イントネーション、音声変化などに耳が慣れていないせいなのです。
例えば「get out」であれば、「ゲット アウト」ではなく実際の会話では「ゲッラウト」と発音されるように、英語ではt/d/l/nの音は消えてしまいがちですし、be動詞や助動詞、代名詞、前置詞などは名詞や動詞に比べて短く弱く発音されます。
「musician」という単語のように、日本語では最初の「mu」の部分が強く発音されるのに英語だと「mu-sɪ́-cian」と「si」の音節にアクセントが来るようなものも、知識がないと咄嗟には聞き取れない可能性があるでしょう。
このように、単語自体は小・中学校で習うような基本的なものばかりでも、いざリスニング中に出てくると把握できずに聞き取れなくなってしまうことは多々あります。
「英語の音声を聞いても英単語や英文が思い浮かばない」という方は、まずはこの “英語特有の発音方法や強弱に耳を慣らす訓練”をしていく必要があります。
英語の学習習慣がついていない
リスニング力を高める上で、日常的に英語の音に親しむことは必須です。
映画やアニメを英語音声に切り替える、NHKラジオや洋楽を毎日聞く、資格試験用に購入した本についているCDを聞くなど、方法はなんでも構いません。
生活の中に英語の音を自然に取り入れ、聞く量を増やす努力をしていくことが大切なのです。
ただ、知らない音をいくら聞いても聞き取れるようにはならないので、音声を聞いたあとに文字も確認できるよう、字幕やスクリプト付きのものを活用するとよいでしょう。
1日5分でもよいので、英語の音声を聞くことを習慣化していくことが重要です。当サイトのYouTubeで下記のような短いリスニング動画をアップしているので1日5分でも良いので英語の音声を聞きましょう。
おすすめの勉強法
「文法やリーディングの勉強法は学校で習ったけれど、リスニングについては習った記憶がない」という方は多いのではないでしょうか?
間違った方法でいくら勉強を続けても、リスニング力は向上しません。
細かい部分まできちんと聞き取って正しく意味を理解できるように、以下のような学習法を取り入れていくとよいでしょう。
ディクテーション
“ディクテーション”とは、聞こえてきた英文を1語1語ノートなどに書き取っていく学習法です。
一度音声を聞いた後にスクリプトを見ずに再度聞き直して書き取り、その後にスクリプトを見てきちんと聞き取れているのかを確認します。
“英文は一度聞いたら終わり”ではなく、英単語の意味や用法、発音、文法、単語が連なったときにどのように聞こえるのかなどをきちんと把握するまでがセットです。
弱く発音される単語(be動詞や助動詞、代名詞など)や音声変化は一度聞いただけでは書き取れないかもしれませんが、何度も聞き込んだり書き取った英文を音読したりするなど繰り返し練習するうちに書き取れる量が増えていきます。
集中力も鍛えられるのでおすすめですよ。
シャドーイング
中級以上の英語学習者におすすめしたいのが“シャドーイング”という学習法です。
これは聞こえてきた音声の後を追いかけるように発音していく方法で、元々は同時通訳者の訓練として取り入れられていたもの。
英文を聞き終わってから「リピート」するのではなく、聞こえてきた音のすぐ後をshadow(影)のように真似て発音していくのがポイントです。
以下のような手順で実践していくとよいでしょう。
シャドーイングのやり方
⓵まず音声を聞く
⓶もう一度音声を再生して、そのすぐ後を追ってつぶやくように発音する(全てを言えなくても、発音できる箇所だけでも聞こえたままつぶやく)
⓷スクリプトを確認する(英単語やフレーズ、文構造をチェックする、聞き取れなかった箇所がないかについても1文1文確認していく)
⓸スクリプトを見ながら音読する
⓹再度シャドーイングしたものをスマホなどで録音し、自分の発声を聞き返してみる
⓺ただ音を真似るだけでなく、文の意味を理解しながら完璧に発声できるようになるまで練習する
何度も繰り返して英語の音声を真似ていくシャドーイングを取り入れた学習を続けていくと、ただ英文を聞き流していた時とは違い、単語や文の意味をしっかりと理解した上で発音する癖がつきます。
また、英語特有のアクセントや音声変化、リズム、強弱、イントネーションなどに耳が慣れてくるので、細部まで聞き取って発音する力が自然と身についてくるのでおすすめですよ。
スラッシュリーディング
続いてご紹介したいのが、意味のカタマリごとに英文にスラッシュ(/)を入れて読んでいく “スラッシュリーディング”という手法です。
これはネイティブが英語を理解するときと同様に、「だれが」→「どうした」→「何を」→「どこで」「いつ」「何のために」と “英語の語順のまま頭から理解していく感覚”を身に付けるのに役立ちます。
例えば下記のような例文の場合、みなさんならどのように訳しますか?
The new zoo that opened last week is popular.
キレイな日本語訳を意識した、「先週開園したその新しい動物園は人気があります」と後ろの関係代名詞節から英文を訳していく従来通りの “返り読み”という訳し方の場合、目線を何度も動かすことになるのでどうしても読むスピードが遅くなってしまいます。
それに対して “一区切りごとに意味を取っていく”スラッシュリーディングという手法を用いて読むと以下のようになります。
The new zoo / that opened / last week / is popular.
英語の文は「~は(主語)」「~する(動詞)」「~を(目的語)」と述べたあとに、「いつ」「どこで」「どのように」などの情報を付け加える語順となっているため、日本語の語順とは異なります。
「キレイに翻訳する」ことは英語の語順から日本語の語順へと直していく作業なので、速読力やリスニング力を高めていくときにそのような習慣がついていると邪魔になってしまうのです。
“意味のまとまりごとにスラッシュで区切りを入れて文頭から語順通りに意味を読み取っていく”というスラッシュリーディングの手法は、自然な日本語ではありませんが、文意を大雑把にとらえながらスピーディーに理解することを可能にしてくれます。
スラッシュを入れることによって文構造が明確になるので複雑な英文でも理解しやすくなって読解スピードが上がりますし、聞こえてきた英文も流れてきた語順のまま容易に理解できるようになるのでリスニング力も向上します。
「長い英文の読解やリスニングが苦手」という方は、ぜひ普段から実践してみてください。
オンライン英会話
単語集や問題集を使った独学での勉強を続けることももちろん大切なことですが、同じループでの勉強ばかりを繰り返していると概念が固定化してしまって限界を感じてしまうことはありませんか?
そのように独学でのリスニング学習の壁にぶち当たったときの突破口となるのが、「英語をたくさん話すこと」なのです。
「聞く力を鍛えたいのにたくさん話すのは遠回りでは?」と思われるかもしれませんが、あくまでも英語は言語です。
話せないものは聞き取ることはできません。
英単語や文法の知識をインプットすることに加えてアウトプットする(話す)機会を多く設けることによって、 “相手の話す英語を即座に理解して自分の知っている英単語や文法を駆使して答える”という経験を積んで「英語で物事を考える思考回路」を自然と作っていけるようになります。
つまり、聞こえてきた英語をわざわざキレイな日本語に変換することなく英語のまま理解する「英語脳」のベースを作ることができるというわけです。
そこでぜひ取り入れていただきたいのが「オンライン英会話」という学習コンテンツです。
基礎英会話やビジネス英会話、発音矯正、英語の資格試験対策など様々なトピックが設けられているので英語の知識の幅が広がりますし、24時間いつでもレッスンが受講できるサービスも多いので、毎日のルーティーンに組み込みやすいですよ。
オンライン英会話を活用してインプットしてきた英語をアウトプットする機会を増やし、英語力の底上げをしていくとよいでしょう。
まずはどのオンライン英会話で悩んでいるならDMM英会話が使いやすくおすすめです。リスニング用の教材を選ぶときのコツ
リスニングを苦手としている学習者にありがちなのが、ついあれもこれもと色々な教材に手を出してしまうこと。
たしかに、「○○さえすれば劇的に聞き取れるようになる!」などのテクニックを謳った教材は多数出版されていて為になることも多いのですが、やはり語学の基本は「地道に努力すること」にほかなりません。
自分のレベルに合った少数精鋭のものを選び、その英語音声を隅から隅まで徹底的に聞きこんでいくことが何より大切です。
洋画や海外ドラマ、ニュース、アニメなどを視聴する、YouTubeの動画を題材にしたリスニングに特化したアプリを活用する、リスニング対策本を購入するなど、勉強の目的や目標とするリスニングレベルに合わせて用意してみましょう。
1~5分程度の短いもの、ネイティブのスピードのものがよいのですが、たまには学習のスパイスとなるように少し難易度の高いものも実力試しに取り入れ、リスニング学習を続けていけるよう工夫してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ディクテーションやシャドーイングなど、今回ご紹介したものはどれも最初は少々面倒に感じてしまうような、慣れるまでに時間のかかる手法ばかりかもしれません。
しかし、いずれも英語力の地盤を固める上で有効なものばかりです。
慣れてくると英文を聞いた瞬間に意味のカタマリごとにパッとイメージが浮かんで理解できるようになります。
日々の学習にぜひ取り入れていただき、ご自身の英語の総合力を高めるのに役立ててください。