”can”の使い方
中学校で習う助動詞’can’には多くの意味があります。
文法上’can’は『可能』『可能性』『許可・依頼』などに分類することができますが、前Unitでも述べた通り、頭の中でいちいち『これはニュアンス的に可能性を意味しているから…』と考えていては、ネイティブスピーカー同士のスピーカーについていくことはできません。
‘can’のもつ、『根拠のあるビジョン』というコアイメージをもとに、様々な例文に多く触れることで自然と意味を認識できるようになっていくことでしょう。
例えば、
Can you open the door?
(あなたが扉を開けるというビジョンを話し手が持っている。)
と聞いて、『あなたは扉を開けることができますか?』という意味だと取ることはないかと思います。
勿論、文脈次第ではありえますが、『扉を開けてもらえますか?』と依頼しているのだなと、英語学習者の大半はすぐ理解できることかと思います。
Everything that you imagined can happen eventually.
(起こるという根拠のあるビジョンを話し手が持っている。)
『あなたが思い描いた全てのことは、やがて起こり得るでしょう。』
It cannot be true.
(本当ではないという根拠のあるビジョンを話し手が持っている。)
『それはありえない。』
He can swim really well.
(彼が上手に泳ぐという根拠のあるビジョンを話し手が持っている。)
『彼はとても上手に泳ぐことができる。』
“could”の使い方
‘can’の過去形であると学校で習う助動詞’could’にも意味は多くあります。『可能』、『可能性』、『許可・依頼』と文法書にはよくまとめられていますが、これだけを見ると’can’との違いがよくわかりません。
‘could’は’can’よりも時間的、空間的、心理的な距離が離れている、『あやふやなビジョン』というコアイメージを持っておくと良いでしょう。
I could easily finish five hundred grams of steak when I was young.
(時間的距離が離れている(過去)あやふやなビジョンを話し手が持っている。)
『若い頃は500gのステーキをペロリと食べられたよ。』
That could be a plan.
(心理的な距離が離れている(自信がない)あやふやなビジョンを話し手が持っている。)
『良い考えかもな。』
Could I please have this pie?
(心理的な距離が離れている(丁寧)ためあやふやなビジョンを話し手が持っている。)
『このパイをいただけませんでしょうか?』
“could have+過去分詞” の使い方
’could have+過去分詞’の形にすることで、明確に過去を示すことができます。
It could be true.
(そうかもね。)
It could have been true.
(そうだったかもね)
改めて別のUnitでも解説予定ですが、『仮定』するときにも’could have+過去分詞’は多用されます。
I could have bought it…I missed the chance.
(あれ買えたなあ…チャンスを逃してしまった。)
[実際には買えなかった。]
You could’ve finished your homework on time if you had studied constantly.
(コツコツと勉強していれば宿題は期限内に終わっていただろうに。)
[実際には終わらなかった。]
“can”, “be able to do”の使い分け
I can speak French.
I am able to speak French.
さて、上の例文はそれぞれ非常に似た意味の文章ですが、どのように使い分ければ良いのでしょうか?
コアイメージで考えていきましょう。’can’は『根拠のあるビジョン』、’be able to do’は『能力』というイメージをそれぞれ持っています。
’can’の方がより使える幅が広く、’be able to do’を包含しているのです。
意味合いだけではなく、文法上の規則に従って使い分けることもありますので、大まかなルールを以下にまとめます。
’will’などの助動詞のあとは’be able to do’を用いる?
×I will can swim in the future.
〇I will be able to swim in the future.
『可能性』や『許可・依頼』を表すときは’can’を用いる?
×It is able to be true.
〇It can be true.
’can’は口語的、’be able to do’は文語的
受動態であれば’can’を用いる
他にも細かな使い分けに関するルールはありますが、コアイメージを意識しながら多くの例文に触れることで感覚的に使い分けできるようになっていくことでしょう。
“could”, “was/were able to do”の使い分け
それでは、‘could’と‘was/were able to do’ではどうでしょう。
①I could go to his birthday party if I finish all my work on time.
②I was able to go to his birthday party even though I didn’t finish all my work.
実は、それぞれの文章は異なるニュアンスを持っています。
’could’と’was/were able to do’の誤用は英語学習者に大変多いため、意識をして気をつける必要があります。
①は『彼の誕生日パーティーには、仕事が終われば行けるだろう。』という仮定の話を表してしまい、
②は『忙しかったけれど彼の誕生日パーティーには行くことができた。』と全く異なっています。
‘could’は『あやふやなビジョン』を表すため、もしも…という仮定の話も表すことができてしまうのに対し、‘was/were able to do’は過去の能力のみを表します。
これは非常に混乱のもとなので、以下のように覚えてしまっても良いでしょう。
長期間にわたって『できた』のなら’could’を用い、その一回だけできたなら『できた』のなら’was/were able to do’を用いる。
勿論例外パターンも多く、細かな使い分けのルールもありますが、それらを受験のように丸暗記してもいきなり英語を話せるようにはなりません。
感覚的に使いこなすには多くの文に触れ、定着するまで練習し続けることがとても大切です。
まとめ
- 助動詞‘can’のコアイメージは『根拠のあるビジョン』。
- 助動詞‘could’のコアイメージは『あやふやなビジョン』。
- ‘can’, ’could’, ‘be able to do’は非常に近い意味を持っているが、文脈によっては意味が大きく異なるため注意が必要。
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